「どうしたオカン」
「あ、あのねかまちちゃん……」
どう切り出そうか考えている様な口調に聞こえて、そんな口ぶりになる事象を頭に巡らせる。
「……ノブ」
「…うん、ノブ君がね…」
――病院から居なくなったの
その言葉を全て聞く前に俺は携帯を落として当てもなく外を走り回った。
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アイツが好みそうな場所は大体事前に調べていた。
……だが、アイツは居ない。
もし、学校に来てるなら……そう思い、校門へと足を運んだ時だった。
暗がりに、ゆれる黄色い炎。
そしてその炎の操者は
「よぉ、元気みてぇじゃねぇか大将。…その髪どーしたの」
「ノ…ブ……?」
声に聞き覚えがあった。2年ちょっと、聞きたくても聞けなかったあの声だ。
そして、俺は反射的に
飛び掛っていた。
「おおっと、あっぶねぇあっぶねぇ」
「…灼滅者か?ダークネスか?言え!」
「さぁ?どっちだと良いと思う?」
「知るかっ!!お前が答えろっ!!」
「やだね。つかマジ天パに磨きかかってんじゃーん?嫌なんじゃなかったっけ?その髪。五部刈り止めたの?」
「くっそ…ちょこまかと……」
「んっふふ…あんまり遊んでるのもアレだし…顔見せもすんだしね。オレ帰るわ。」
一瞬、大きく炎が広がったかと思うと、閃光弾に巻かれて消えるようにアイツは俺の前から姿を隠した。
「まったねーばーいばーいきーん」
「死ね!!」
相変わらずの振り回されっぷりに懐かしさと安堵と……不安を覚えた。
ダークネスだった場合、俺はアイツを…灼滅しなければいけない。
古き友人をこの手で仕留めねばならない。
春だというのに冷たい風が顔を撫でていった。
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